そしていま、3回目の大きな転換期の荒波が日本に襲いかかってきている。メディアはバブル崩壊や景気の周期的なバイオリズムで片付けてかなり楽観的に報じているけれど、私は大転換期がきていると思います。どんな大転換期かといえば、これまでの市場原理、自由経済と言われてきたものとは逆の方向に時代が動いてゆく。

神の見えざる手というアダム・スミス以来のマーケットへの信頼が崩れ、金融資本家およびそれに従事する人たちは無限に欲望を追求するようになりました。人間はどこまでも傲慢になりうる。アメリカ発の世界的な金融危機というのは、経済の問題としてより、どこまでも肥大してゆく欲望や傲慢さが罰を受けた結果と受け止めるのが正しいように感じます。それに対して、かつてのナチスドイツや社会主義に向かったソ連や中国でもそうだったように、人々が何らかの規制を心の底で求めている点が気がかりです。自由放任しておけば人間の強欲というのは無限に肥大してゆく。もっと厳しくやったほうがいい。国家はもっと規制すべきじゃないか、と。そういう動きがいま出てきている。

一つの表れとして高額所得者に対する増税が盛んに言われていますが、これも民衆の自然な感情です。アメリカでは、サブプライム惨禍を拡散させた金融機関や、会社を傾けた自動車会社の経営者があんな高給を取っていいのか。そんな会社に公的資金を注入する必要はないという世論が議会にも影響を与えました。

私利私欲はもちろんのこと、銀行や大企業が強引なビジネスをやることに対して日本でも国民の反発がある。規制撤廃を叫んだ小泉元首相を大衆は支持したけれど、これからは規制強化を訴える新しいヒーローに期待するようになるでしょう。

資本主義に代わる何か。かといって社会主義でも共産主義でもない。それが統制経済という形を取って始まっていると思います。

(大沢尚芳=撮影)