――たとえば大手コンビニもおせちを手がけている。脅威はないのか。

【松田氏】おせちの調理には、どうしても手仕事の領域が残ってしまいます。ニッチなジャンルですから、機械化はむずかしく、生産性で差をつけられる商材ではありません。大企業は資本力はあると思いますが、それだけでは容易に勝てない市場だと思っています。

一番の売れ筋という和洋折衷本格料亭おせち「博多」。特大8寸/4~5人前/3段重/全45品で1万5800円(送料・税込み)。

――通販商品では「安売り」も多い。「早割」などはあるのか。

【松田氏】うちは一切、割引をやっていません。「博多久松」の顧客は全体の約3割がリピーターですが、そうしたお客さまにも割引はしていません。社員が買う場合でも定価です。うちのモットーは「自分たちの友人・知人が定価で買ってくれて、『良かった』と感想を持ってもらえるおせちをつくろう」。そのかわりサポートには力を入れています。ネット通販の会社ですが、コールセンターを用意していて、電話での対応に力を入れています。元日でも対応します。お正月に窓口が閉まっていれば、おせちを売る企業としては失格ですから。

――今後の課題は。

【松田氏】お客さまに満足してもらえる商品を提供することが一番です。そこは絶対に妥協しません。製造部門への負担は増えてしまいますが、それでも毎年必ず商品の30%程度はリニューアルしています。現在の価格を維持しながら、どこまで品質を高められるか。そのことを突き詰めていくことを考えています。おいしいものをつくれば、結果は付いてくると思っているんです。

※編集部注:「博多久松」の2017年販売分のおせちはすべて完売済み。

(撮影(松田氏)=プレジデントオンライン編集部)
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