急上昇ワード▼相続税
TOPIC 2017/4/6
遺産分割、定期預金も対象に

【相談者の声】
・実家で認知症の母と同居する長男がいます。母の年金を勝手に使っているようですが、許されるのでしょうか?
・夫に多額の借金があり相続放棄を申請中です。夫の車の税が未納で督促状が来ています。どうすればいいでしょうか?

認知症の母親の年金・財産を使いこむ長男

15年から相続税の基礎控除が大幅に減額されるなど、相続税を支払う対象者が一気に増えた。

「『大相続時代』がやって来ました。加速する高齢化社会の中で、被相続人に意思能力がなくなっているケースもあります。すると相続する兄弟姉妹の間で、誰かが被相続人の財産を使いこむといったケースも増える。そうなると、不当利得返還請求をするしかないわけです。相続に関しては、弁護士ドットコムへの相談も増える一方。意思能力のあるうちに遺言書を作っておくことが重要です」

2016年12月に続き、最高裁判所は「預金は遺産分割の対象に含まれる」という判決を今年4月にも下した。(共同通信フォト=写真)

相続で実は見逃せないのは「借金」問題だという。

「親と離れて暮らし、とりあえず相続したら、借金のほうが多かったといったケースが少なくないのです」

昨年12月には、預金債権に関する新たな判決が最高裁で下された。

「これまで預金債権は遺産分割の対象になっておらず、たとえば90万円の預金があり3人の相続人がいた場合、1人30万円ずつ受け取ることができた。しかし、たとえば3人のうち1人が生前に100万円の贈与を受けていた場合、預金を均等に分けるのは不公平。だから預金も遺産分割の対象にしようという判決が下ったのです」少額にもかかわらずもめごとのタネとなるのが“お金”の怖いところ。預金債権を巡る相続人同士の争いは、今後も増えそうだ。

※問い合わせ件数は弁護士ドットコム提供。相談者の声は弁護士ドットコムへの問い合わせ内容と取材をもとに編集部作成。

弁護士 田上嘉一
弁護士ドットコム執行役員。同社名を掲げたポータルサイトは月8000件以上の相談が寄せられる。早稲田大学大学院法学研究科卒業。
 
(写真=共同通信フォト)
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