パワハラはいけないが、甘いことばかり言っていたら仕事は回らない。では、どうすればいいのか?
近年はパワハラに対する企業側の関心が変わってきたという。労務問題に詳しい千葉博弁護士は次のように語る。
「社内からパワハラをなくそうと頑張っていたら、こんどは上司が萎縮して部下をまともに指導できなくなり、組織が機能不全に陥り始めました。最近はそのことに危機感を抱いた経営層から、『どうすればパワハラにならずに叱れるのか。管理職に教えてあげてほしい』という要望が寄せられます」
法的に問題がない「キレ方」とは
パワハラはいけないが、かといって甘いことばかり言っていたら仕事は回らない。組織として成果を出すために、ときにはキレることも必要だろう。どのようなキレ方ならば問題ないのか。
完全にアウトなのは、叩く、蹴飛ばす、胸ぐらをつかむといった「有形力の行使」だ。はっきり暴力とわかるものだけではない。たとえば紙くずを投げつけるといった行為も有形力の行使に当たるため、許されない。
微妙なのは、机をバンと叩いたり、大声を出したりして部下を威嚇するキレ方だろう。
「パワハラかどうかの判断では、行為の『異常性』と『継続性』が問題になります。机を叩くこと自体は行為の形態としてありえるため、異常性は低いですが、何度も叩けば継続性の点から違法となるリスクがあります」
注意したいのは、人前で叱ることだ。晒し者にしたとしてパワハラ認定されるおそれがある。
ただ、いちいち二人きりにならないと叱れないというのでは、叱るタイミングを逸しかねない。いったいどうすればいいのか。