年を重ねたら日常生活において何を意識するべきか。医師の和田秀樹さんは「60歳を超えたあたりから、思考や感情を司る前頭葉の萎縮により、だんだん怒りっぽくなってくる。怒りの感情に振り回されないようにするには、3秒の習慣を心がけるといい」という――。

※本稿は、和田秀樹『60歳でリセットすべき100のこと』(永岡書店)の一部を再編集したものです。

拳を握りしめてナーバスになる男
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

「自分」がないような「いい人」ではつまらない

他人の目に自分がどう映っているのか気になってしまう。周囲の人たちに白い目で見られるのが怖い。そんなふうに世間体を気にする人は大勢います。「世間の目」とは、いったい誰の目なのでしょうか?

それは、特定の誰かではない集団の「監視の目」といえるでしょう。人と違うことをして、「みんなと同じ」枠からはみ出していないか。そんな厳しい目で見られていると思うと、自分を主張しない「いい人」でいようとするのかもしれません。

でも、「いい人」と話をしていても、正直つまらないと私なんかは思ってしまいます。

「この前食べたラーメン、おいしかったんだ」「いいね」、「あの人の言うことは間違っていると思うんだけど」「そうだね」……ではなく、「私はね」と少しは自分の意見を聞かせてほしいものです。

「いい人」は人に合わせようとしてばかりいて、「自分」がないように思えます。「いい人」が自分の好き嫌いをうやむやにしてしまうのも、世間がつくった同調圧力がはたらいているからでしょう。