※本稿は、樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
悪口は脳と身体に悪い
「ありがとう」を言っても、何も変わらない(連載第1回目参照)。もしそうであれば、「悪口」の影響かもしれません。
悪口やネガティブな言葉が多いと、「感謝」しても効果が得られないのです。そんな人たちの典型的なパターンを見たところで、そうなってしまう科学的な理由について、解説していきましょう。
結論から言いますと、「悪口」が多い人は、脳と身体へのストレスが増えて健康に悪い。認知症リスクが3倍に高まり、寿命も縮まる。不安や恐怖を感じやすく、最悪の人生になります。
① 認知症リスクが3倍に!
東フィンランド大学の研究によると、世間や他人に対する皮肉・批判度の高い人は認知症のリスクが3倍という結果になりました。
悪口を言い続けていると、ストレスホルモンであるコルチゾールを分泌します。コルチゾールは、記憶の保存に関わる海馬の神経を破壊し、過剰なコルチゾールは前頭前野の神経ネットワークのつながりを40%も破壊します。
悪口を言うことで、認知症を発症するほどのダメージを脳に与えるのです。

悪口は心臓に悪い
② 寿命が縮む
楽観的な人と悲観的な人、いわゆる「ポジティブ思考」と「ネガティブ思考」の人を比べた研究では、「ポジティブ思考」の人は、10歳以上長生きしています。別の大規模研究でも、「ポジティブ思考」の人の寿命は平均より11~15%長かったり、また、「ネガティブ思考」の人は、「ポジティブ思考」の人と比べて、心疾患の発症率が2倍以上高かったりなど、多くの研究があります。
①に出てきた東フィンランド大学の研究でも、皮肉・批判度の高い人は死亡率が1.4倍にも跳ね上がり、批判的な傾向が高ければ高いほど、死亡率は高まる傾向がありました。悪口が多い、ネガティブな言葉が多い人は、寿命が縮むのです。
悪口を言うとアドレナリンが出ます。あるいは、怒ったときにもアドレナリンが出ます。たまになら良いのですが、1日の中でも何度もアドレナリンを出す生活は、心臓に悪いのです。