税理士に遺言書の説明をさせよう

それから、親が自分の意向を記した遺言書があると、不動産の相続に関するトラブルはグッと減るらしい。

「残された土地が駅前の駐車場と山林だったら、多くの人は駐車場がほしいわけです。そのとき、『駐車場は長男、次男には山林と預貯金を与える』といった遺言書があれば、あとで遺留分という話が出たとしても、一応親の気持ちを汲んで話を進めようということになりますよね」(佐野氏)

ただ、親が書いたその遺言書が公正証書の手続きを踏んだ正式のものでないと、ほとんど効果はないという。たとえ自筆で日付も入っていて実印まで押してあったとしても「長男に脅されて書いたのかもしれない」「実印なんて誰でも押せる」などと、いくらでも文句がつけられるからだ。

「公正証書遺言は、公証人役場に行って、遺言書の内容と利害関係のない証人二人の立ち会いのもとで作成しなければならないなどかなり面倒なので、喜んでやってくれる親はまずいません。そこで、家族会議のときに税理士にも入ってもらって、その税理士に遺言書の説明をさせるというのはどうでしょう。家族から言われるよりも素直に耳を傾けられるはずです」(佐野氏)

佐野明彦(さの・あきひこ)
新月税理士法人代表社員、新月有限責任監査法人理事長、税理士、公認会計士。佐野公認会計士事務所を経て、2011年新月税理士法人設立。著書に『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』。
 
高馬裕子(こうま・ひろこ)
新月税理士法人代表社員、税理士、ファイナンシャルプランナー。税理士事務所・公認会計士事務所勤務を経て、2005年高馬裕子税理士事務所設立。11年新月税理士法人設立。
 
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