本当に「内定に有利」なのか

次に、学生側の事情を見てみましょう。インターンシップに参加する学生が増加したのは、「内定がもらえる」「内定に近づく」という噂話が広まったからです。学生から人気の企業であればあるほど、「インターンシップに参加して、内定に近づけたい」と考える学生がたくさん集まるようになったのというわけです。

実際に、前述のようにインターンシップに参加した学生の2割が、参加した企業に内定しているという現実はあります。しかし、この「インターンシップに参加すれば内定がもらえる」という認識は、正しいとも間違っているとも言いがたい状況です。

たしかに、インターンシップに参加すると、業界や企業、仕事、社員、社風などをリアルに知る機会が増えるというメリットがあります。具体的に知れば知るほど、選考での企業・学生のお互いのマッチングが行われ、内定につながる可能性が高まる。「インターンに参加→企業を理解する→選考を通る→内定をもらう」というステップが、一見すると「インターンに参加→内定をもらう」につながったように見えることが、噂話が出てくる理由です。

また、以上のような企業と学生の思惑が重なったことで、大学内でインターンシップのガイダンス開催が増え、インターンシップ実施を売りにした企業が集まる合同企業説明会の開催も増えています。

インターンシップに参加すれば、選考に優位になるかもしれない。より身近にインターンシップを感じる機会が増えている。それらが売り手市場の中で、学生がインターンシップにこぞって参加している理由です。

インターンシップと就職活動が一体化

現在の動きを見てみましょう。2017年6月から、2019年度卒の新卒採用につながるインターンシップの告知が本格的にスタートしています。主要なインターンシップサイトに掲載されている企業数は、延べ1万3000社。前年の1.6倍になり、インターンシップを実施する企業は、さらに増加しています。

「企業を探し、知り、人事と出会い、お互いを理解する」という意味でインターンシップと就職活動が同じ意味になっています。もちろん人気、大手企業のインターンシップの参加は狭き門となり、エントリーシートの提出や面接といった選考があります。今や大学3年生、大学院1年生の夏から就職活動が始まるといっても過言ではありません。