なぜ東海道新幹線の座席「E」に座ると賢くなるのか?
次は東海道新幹線だ。東海道新幹線の座席を「E」と限定した理由も、その景色にある。東京から名古屋方面に行くとしよう。路線上は、まず、かまぼこで有名な小田原駅、温泉地の熱海駅を通過するが、一瞬で通過するので頭には残らない。しかし、新富士駅周辺で右手に富士山が見えるところから、学びが始まる。
昼間であれば、「右手に富士山がごらんいただけます」とアナウンスもされる。子どもが小学校低学年ぐらいなら本物の富士山の姿を堪能させよう。「今、静岡県を通っているんだよ」という言葉を添えてもよい。
小学校高学年以上なら、そこであえて「手前の煙が立ちのぼる工場群はなんだろうね」と投げかけてみてほしい。富士市は製紙・パルプ業がさかんであり、トイレットペーパーやティッシュペーパーが多くつくられている。「だから、あんなに工場からむくむく煙が出ているんだね」と。
東海道新幹線 上りも下りも富士山拝むなら座席「E」
さらに話は続く。
右手に茶畑が見えると、そこは牧之原。静岡県は茶の生産量全国一だ。よく観察すれば、茶畑には霜対策の大型送風機が備え付けられていることもわかるだろう。しばらくすると、大井川を通過することになる。
大井川は「箱根八里は馬でも越すが 越すに越されぬ大井川」とうたわれた大河。江戸時代には、江戸を守るため、意図的に橋がかけられなかったという。東海道新幹線を利用する際は、ぜひそうしたエピソードについて親子で会話をしてほしい。どれが大井川なのかわかるわけがない、と思われるかもしれないが、それも心配無用。ガタンゴトンと橋を渡る時間がやたらと長いなと思えば、それが大井川だ。車窓をよく見れば、国土交通省の看板でも確認できる。
さらに、新幹線はうなぎの養殖がさかんな浜名湖を通過する。浜名湖はサロマ湖や宍道湖と同じく海水と淡水がまじりあう汽水湖だが、それも新幹線の車窓から右手は湖、左手は海が見えるので実感できる。このように、新幹線の中でも学べることが多いのだ。
そのためにも、まず座席予約が重要になる。
ところで、東京から名古屋方面は「E」とあるが、逆方向だとその席は「A」になるのか? 答えは「NO」。新幹線は終点についてそのまま折り返すので、帰りも富士山側は 「E」になる。