営業成績を一挙に5倍、10倍へとアップ

川西さんは「その際に行動を実行したときのイメージを、なるべく具体化するといいでしょう」とアドバイスする。今後の成長を思い浮かべて(ステップ6)、モチベーションアップを図るのだ。事務のEさんなら「新規案件を若手営業マンに紹介するようにしたら、『僕、がんばります』と笑顔で応えてくれる」といったように。また、実行を支援してくれるサポーターも決めて記入する(ステップ3)。「ここまでが『前編』で、全メンバーが実践に移し、約1カ月後にフォローアップの『後編』に入ります。後編では実行までのプロセスの確認と、実行失敗のフォローを行います」と川西さんはいう。実際の研修では前編・後編ともに複数のシートを使いながら進め、後編の後に自分たちで維持・継続するためのシートもある。それが図4の「実践・検証記録シート」である。

ここには、自分の具体的な行動に対する周囲や自分の変化や、その結果などを書き込む(ステップ10)。「理想像とゴールを思い出すためです」と川西さんは説明する。同時に、成功や失敗の要因を検証することで改善点を見つけ、何かトラブルが起きた際の対処法につなげていく(ステップ11)。

このフォローアップを毎月続け、最終的にゴールに達したら、皆で成功を祝う(ステップ12)。A支店はスタートしてからわずか半年で、営業成績が全国5位に躍進し、想定以上の結果を出した。事務のEさんの支援を受けた若手営業マンたちは、もともと伸び代が大きかっただけに、営業成績を一挙に5倍、10倍へとアップさせていた。

ポジティブな雰囲気に満ちたチームへ

これまで見てきたリチーミングステップは、研修とその後の自分たちでの維持・継続を通して何度も繰り返し行われていく。そして、1年・365日続けていくことで、ポジティブな雰囲気に満ちたチームへ変わっていくのだ。

また、リチーミングについて川西さんは、「心理療法がベースになっているので、個人のマインドセットにも応用できます」と指摘する。まず、いま自分が苦しんでいることや困っていることを書き出す。そして、その状況が進むとどうなるか、悪化のサイクルを想像する。次に素直な気持ちで頭に浮かぶ理想像を書き出して、思いを新たにするマインドセットを行う。最後に、理想に到達するには何から手をつけたらよいのかを熟考し、自分がどうするか「行動宣言」をするのだ。

「物事をポジティブに捉えながら共感し、協働できる職場なら、自然に人が育ち、業績も高水準にあるものです。よい組織は『5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)』ができているといわれますが、それに“スマイル”を加えた『6S』こそ、結果を出せるチームの条件で、リチーミングの最終目的だと考えています」と川西さんはいう。

川西由美子
ランスタッドEAP総研所長。ビヘイビアヘルス・コンサルタントを務めながら、リチーミングの指導者資格を取得。著書に『チーム改善をしたいリーダー・推進者のための心の好循環サイクル』など。
(撮影=加々美義人、宇佐見利明 写真=Getty Images)
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