職場が明るくなければ生産性は上がらない

「長年にわたって小集団活動のQC(品質管理)の指導に当たってきましたが、こうしたことで改めてチームワークの大切さを体感できるとは思いもしませんでした」と語るのは、日立オートモティブシステムズでリチーミング導入の窓口となった業務管理本部シニアコーディネーターの有賀久夫さんだ。

リチーミングの研修では最初に「フラフープワーク」があり、人差し指の横側でフラフープを持ち上げ、目的の場所まで運ぶ。それも「1、2の3」などの掛け声を一切交わさず、最初は3人で挑戦する。すると、意外と難しいことがわかる。そして徐々に人を増やしていくことで、目標達成にはチームワークが重要なことを実感するわけだ。

同社がQC活動を活発にする担い手として育成している社内指導士をステップアップするために、リチーミングの研修を行い始めたのは2014年からで、これまで37人が受講した。その結果はデータにも表れており、国内でQCに参加する社員の数は、13年4月の5916人から16年の4月には7118人へ着実に増えている。

(左)フラフープワークでチームワークの重要性を改めて体感した有賀久夫シニアコーディネーター(右)リチーミング導入には品質改善に対する温度差を埋める狙いもあったと語る藤沼洋部長代理

「QCというと、何か問題を発見して、それを解決したら終わりというイメージが強いようです。しかし、究極の目標は業務の品質改善であり、それには人を育て、明るい職場をつくっていく必要があります。そのことを改めて理解し、促進していくのにリチーミングは最適だと思い、導入をしたわけです」と有賀さんは話す。

09年に日立製作所から分社化する形で設立された同社だが、もともとは日立製作所、トキコ、クラリオン、ユニシアジェックスの4社を統合した会社。「だいぶ融和しているものの、それぞれ育ってきた環境が違い、目先の品質改善を重視するところと、人づくりを含めたトータルの業務の品質改善に熱心なところと、少し温度差が残っていて、その溝を埋める狙いもありました」と同本部部長代理の藤沼洋さんはいう。