ボトムアップする形で生産性も向上
トータルの業務の品質改善となると、一人でいくら音頭を取っても、周囲の人間が背を向けていたら難しい。まず、皆で問題点を洗い出し、全員が共有できる理想像やゴールを設定し、その達成に向けてチーム一丸となって取り組むリチーミングは、社員の意識の統合という面においても、同社にとって最適のメソッドだったわけだ。
藤沼さんは「本来のQCが活発になるのにつれて、ボトムアップする形で生産性も向上しています」という。それは、原材料の仕入れから販売後の現金化までの日数を見る「運転資金手持日数」という財務指標にも反映されつつある。これは短ければ短いほどいい。15年度は42.1日で14年度の40.5日から悪化したものの、16年度は40.8日、18年度には40.6日へ改善していく見通しである。
「今後の課題は間接部門をQCに巻き込んでいくこと。まだまだ、QCは現場のものという意識が強く、間接部門からの参加者が少ないのが現状です。これが解決できれば、生産性は飛躍的に向上するはずです」と有賀さんは話す。実際にリチーミングの研修を受けた37人の社内指導士のうち、間接部門の人は5人にすぎない。だが、彼らが現場でリチーミングを活用し、この課題を解決していくことで、状況を一変させることも十分に考えられる。
(撮影=加々美義人、宇佐見利明)