営業マンの「皆を食わせている」という態度

では、全国50支店のなかでワースト2、49番目の営業成績だった大手ハウスメーカーのA支店でのリチーミング研修の取り組みをベースに、具体的なワークの内容を見ていく。ここに出てくるストーリーは、理解しやすくするためにアレンジしたもの。リチーミングの12ステップについて川西さんは、「最初の理想像を描けた後は、順番にこだわる必要はなく、一連のワークのなかでこなせばいいのです」と話す。

図2を見てほしい、A支店の現状で何が問題なのかを洗い出したところ、事務は新規案件が舞い込むと、成績のいい営業マンにばかり回すので、一部のメンバーに仕事が集中し、営業部門の稼働率が低下していた。また、営業と設計の連携が上手くいっていないため、せっかく引き合いがあってもレスポンスが遅く、顧客をライバル会社に奪われていたことがわかった。

すると、全員の心の根底に流れる問題意識として「社内の協力体制が取れていない」ということが浮かび上がってきた。さらに、協力体制が欠如している結果や影響を皆で話し合う過程で、「営業部門と、設計・施工・事務の各部門との溝が深いことがわかってきました」と川西さんは明かす。

結局、営業マンの「皆を食わせている」という態度が、他の部門の反感を買っていたのだ。ヤル気を失った設計担当は、「就業時間内でこなせるように仕事をセーブしていた」と告白。一方で営業マンは、「どうせ設計が遅れて、お客さまに逃げられるから」と、仕事に後ろ向きになる悪循環に陥っていた。