このように、最近の石巻市の中心市街地には中高層の集合住宅が次々と竣工し、総合病院等の都市施設や、普段使い型の商業機能も戻ってきている。報道によれば集合住宅の入居状況も良好とのこと。これは、第1回で提唱した旧市街の「住まう街」としての再生の方向性にかなうように思われる。

郊外にできた「歩くサイズ」の新しい街

大量の復興交付金が投入されたこれらの事業の成否が評価されるのは数年先になるだろう。石巻市の、復興を契機とした中心市街地の再生策は、シャッター街の先にあるまちの未来像として目が離せない。

他方、震災後も蛇田地区は人口の流入が続き、2016年3月には仙台と石巻を結ぶJR仙石線の新駅「石巻あゆみ野駅」が開業した。高速道路のインターチェンジの引力で発展してきた街に、駅を中心とした市街地が成長しつつある。郊外にできた新しい「駅前」を中心に、車だけでなく歩くサイズの街がつくられる。

高速道路の時代の先、郊外にできた新しい「中心市街地」も絶え間なく変化してゆくだろう。書籍はもちろん、ケースに入ったビールもネット通販で注文する昨今だ。インターネットによる購買行動が普及期に入り、郊外量販店で週末にまとめ買いするライフスタイルは少しずつしかし確実に変化してゆく。これは郊外中心地のとくに商業集積のあり方に影響を及ぼす。ショッピングモールはますます大きくなり競争が激しくなる。単に商品を販売するだけでなく、休日を家族で楽しく過ごす場所として、体験型、時間消費型の度合いが高まっていくと思われる。病院や役所の出張所、図書館など公共サービスとのコラボレーションも増えている。このように新たな機能を取り込んでゆくことで、あたかもショッピングモールそのものが「都市の中の都市」のようになってゆく。これも、高速道路の時代の先の新しい街のスタイルと言えよう。

鈴木文彦(すずき・ふみひこ)
大和総研金融調査部 主任研究員
仙台市生まれ。1993年立命館大学産業社会学部卒業後、七十七銀行入行。2004年財務省に出向(東北財務局上席専門調査員)。08年大和総研入社、現在に至る。専門は地域経済、地方財政、PPP/PFI。中小企業診断士。
(地図作成=大橋昭一)
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