1971年当時の自動車普及率は約2割

1975年、橋通りを上回るペースで上昇していた「立町二丁目石巻三文字屋前通」が橋通りに並んだ。当時の新聞は「橋通りと並んだ立町二丁目」と伝えている。ここは通称「立町通り」といい、北上川河岸と石巻駅をつなぐ道路である。1971年、立町通りにアーケード商店街ができた。当時の自動車普及率は20%をやっと超えるくらいで、全国的にアーケード商店街が賑わっていた時代である。中心商店街が駅前に向かって拡大し、それにともなって街の中心は旧市街と駅前の中間点に移った。その後1976年から約20年間、石巻の最高路線価は立町通りにあった。

地価高騰期を経て、路線価は1993年をピークに下落局面に転じる。その2年後の1995年、石巻の最高路線価地点は「立町二丁目七十七銀行石巻支店前立町通り」から「鋳銭場ケンタッキーフライドチキン前駅前通り」に移った。1996年、丸光百貨店が「石巻ビブレ」と名前を変えて駅前に移転開業する。石巻初のシネコンが進出したことで話題を集めた。

駅前から高速道路インターチェンジ周辺へ

1980年代、中心商店街の全盛期ではあったが車社会の兆しも少しずつ現れてきた。1982年、イトーヨーカドーが郊外型スーパーマーケット業態で石巻バイパス沿いに開店した。石巻バイパスに路線価がはじめて付いたのがその前年である。付近には拠点郵便局やホームセンター、大型書店が開店。車生活に適応した新しいスタイルの商業集積が、旧来のしがらみを避けるようにかつての「辺境地」に拡がっていった。郊外化の流れは90年代後半に加速した。中心市街地の地価が急落する中、石巻バイパスの下落ペースは比較的ゆるやかに推移し、2000年ころには中心市街地との差がほとんどなくなった。

そして、同じ郊外であるが、バイパスとは別に高速道路のインターチェンジの周辺、石巻駅の北西3キロの「蛇田地区」が発展してきた。1996年に店舗面積11,702m2の郊外型ショッピングセンターのイトーヨーカドー石巻あけぼの店が開店。高速道路の三陸自動車道が1998年に石巻まで延伸開通し、蛇田地区に石巻河南インターチェンジができた。その後も付近に広大な駐車場を擁する量販店の進出が続く。