2006年には災害拠点病院の石巻赤十字病院が移転し、その翌年にイオンモール石巻が開店した。店舗面積は石巻で最大の33,686 m2である。蛇田地区の中心である「蛇田字新金沼石巻工業港曽波神線通り」の路線価は2010年には石巻バイパスを抜き、2012年には石巻の最高路線価地点となった(図表3)。現在の「恵み野2丁目石巻工業港曽波神線通り」である。

高速道路の時代の先、地方都市はどうなるか

石巻バイパス、蛇田地区の発展の一方で従来の中心商店街のシャッター街化が進んだ。駅前に開店した「石巻ビブレ」はその後「さくら野百貨店」と名前を変えて営業していたが、2008年に閉店。空き店舗には2010年に石巻市役所が入居した。そして、2011年の東日本大震災で石巻の中心市街地は壊滅的な被害をこうむった。瓦礫等の処理が一巡するとかつて賑わっていた中心市街地に更地が目立つようになった。

他方、中心市街地の復興計画が進行中で、2015年には中心市街地活性化基本計画(第2期)が認定され、これを踏まえた住宅・公共施設・商業施設の整備方針を定めた「石巻市まちなか再生計画」が策定された。「多様な都市機能を集積し、少子高齢化社会に対応した、歩いて暮らせるコンパクトで安全・安心なまちづくり」(中心市街地活性化基本計画)を目指している。復興公営住宅や再開発計画による民間のマンション供給によって、中心市街地の居住人口は2020年3月末で3,812人になると見込まれている。これはおよそ2002年度の水準で、対策を講じない2,621人の成り行き見通しに比べ1,191人の増加である。

さて、これからどうなるか。2016年は復興の一環として進めてきた3か所の市街地再開発事業が完成し、旧市街のこれからを早送りしたかのような風景があちこちで見られた。まず、6階建の再開発ビル「石巻テラス」が完成した。1、2階には商業施設が併設し、コンビニ、カフェ、美容室等が入居し、3階以上は77戸の集合住宅となっている。

次いで、河岸にはリバーサイドMOTOMACHI(7階建、26戸)、立町に「デュオヒルズ石巻立町」(5階建、32戸)が完成した。立町通りに面するデュオヒルズ石巻立町の1階は商業スペース施設「石巻ASATTE」で、地場食品メーカーのアンテナショップ、レストラン、生活雑貨店が開店した。ディオヒルズ石巻立町とリバーサイドMOTOMACHIには再開発事業の一環として同時に災害復興住宅が並び立つ。9月には石巻駅前に石巻市立病院が移転新築した。本年6月末には、橋通りと交差する河岸に生鮮マーケットの「いしのまき元気市場」がオープンした。かつての最高路線価地点の橋通りの近辺には、1、2階を商業、3階以上を住戸とする12階建の複合ビルができる予定だ。