人間にできて、AIには“まだ”できないこと
従来の記憶型の学習や、単純作業の効率化では、機械には到底勝てない。逆に考えれば、今の機械が人間の作業を肩代わりするためには、過去のデータを蓄積して分析し、学ぶ必要がある。現段階でAIが新たなAIを生み出すことはできない。
機械は「経験のない状況で判断すること」や「まったく新しい発想をすること」がまだできないのだ。
そして、経験を持ち、感情がある人間だからこそできることとは、“実践知”を生かすことである(参考:正しく考えられる人の“実践知”とは? http://president.jp/articles/-/21188)。ただ掃除をするだけなら、ロボットで十分だ。しかし仕事に必要なのは、人が寝ていたらその人を起こさないようにするといった人間同士の心遣い。機械にインプットされた聞き手を無視したプレゼンテーションに、誰も心を動かされはしない。その場を読んで応用をきかせる力のある人にこそ、人を動かす魅力があるものだ。
機械が苦手なことをまとめてみよう。
・柔らかな発想のある論理的な思考
・初めてのことにも対応できる、臨機応変な問題解決能力
・共同作業し、欲することを読みとり統括し、新しいことを生み出す力
・知識やデータを、人との関わりやコミュニケーションで生かす術
経済協力開発機構(OECD)では「自動化されるタスクがあれば仕事の内容が変化はするだろう。だが、そうした仕事がすべて完全になくなりはしない」と楽観的な見方もしている。今後10~20年の間で存亡の危機にさらされる仕事は全体の9%にすぎないと彼らは見積もっている。
データとデータのスキマを埋める柔軟な発想が、人が機械に勝る強みだ。大人はもとより、子供たちがこれからの世界で生き残るために、さらにこうしたスキルを磨くことで、しばらくは、機械に取って代わられる不安からは解放されそうだ。