東京・三軒茶屋にある学習塾「Qubena Academy(キュビナ・アカデミー)」は一風変わった学習塾だ。授業を進めるのは人工知能(AI)。授業中の様子を見ると、生徒たちはじっとタブレットを凝視して問題に取り組んでいる。科目は算数・数学のみで、人間が普通に教える7~10倍のスピードで学習できるという。
キュビナ・アカデミーを経営するCOMPASSの神野元基社長は、1986年網走生まれの30歳。子供たちに本当に教えたいのは「未来を生き抜く力」だと話す。算数・数学専門塾でありながらなぜ? そもそも、AIが授業をするようになったら、教師は何をすればいいのか? 田原総一朗氏と神野元基氏の対談、完全版を掲載します。
子供の頃は「宇宙人」と呼ばれていた
【田原】神野さんは北海道の網走のご出身だそうですね。網走というと、まず刑務所が思い浮かびます。
【神野】僕の実家から車で15分です。網走は本当に田舎でした。都会は人の個性を生かすことができるといいますか、異端な人でも、人口が多いので仲間に出会えます。でも田舎だと、ちょっと変わっているだけで浮いてしまう。僕も小学生のときは宇宙人と呼ばれていました。
【田原】ということは、神野さんは変わり者だった?
【神野】どうでしょう。4歳のとき母親から「あなたはいつも私のことを元気にしてくれる」と言われたのが僕の原体験。小さい子は大人にほめられたことを何度も繰り返しやりますが、僕もうれしくて、どうすれば母に喜んでもらえるのかということばかり考えていました。そのうちに人の内面や人生に興味が出てきて、小学校の図書室にある偉人の伝記をぜんぶ読みました。とくに印象に残っているのは、モーツァルト、ベートーベン、エジソン、ニュートン。この4人は、みんな幼少期に個性的なエピソードを持っています。偉人たちのエピソードを知って、「正しい生き方って何だろう」と考えるような子どもでしたから、少し変わっていたのかもしれません。
【田原】正しい生き方ですか。普通の小学生はあまりそこまで考えませんね。
高校生のとき、インターネットに出合う
【神野】中学生くらいになると、社会の在り方にも疑問を持つようになりました。たとえば警察官は駐車違反の切符を切っています。路上駐車がよくないことはたしかですが、それは人が生きる上での高度なルール。本当はそれらを守る前に、人を殴るなとか、人を殺すなというような最低限のルールを守らないといけない。そのベーシックなところを達成しないかぎり、人間の生き方も何も語れないのではないか。ベーシックなところを変えるにはどうすればいいのかと考えて、政治や教育にも関心が広がっていきました。
【田原】そして高校生のときにインターネットに出合う。神野さんの中で何が変わりましたか。
【神野】網走という地方の町で育ったので、部屋のPCがインターネットにつながった瞬間、一気に世界が広がった気がしました。当時は小さな掲示板がたくさんあって、外国の人や東京の人、九州の人ともコミュニケーションができました。そうした体験を重ねていくうちに、世界ではさきほど言ったようなベーシックなルールがまだ守られていないことがわかったし、それを守れる世の中にするのが僕の人生かなと考えるようになりました。世界とつながったことで考えが変わったというより、より固まった感じです。
「Qubenaアカデミー 三軒茶屋教室」
キュビナで学習できるのは現在算数・数学のみ
中学生数学は1万4000円(月8コマ、1コマ50分)
小学4~6年生算数は1万1200円(月8コマ、1コマ40分)
小学1~3年生算数は8400円(月8コマ、1コマ30分)
入学金、タブレットの購入費は不要
http://compass-e.com/academy/qubena_academy/