結果を出すのは動機の強い人
継続性も差がつくポイントです。動機の弱い人は目標体重を達成する前に、ダイエットを中断しがちです。先ほど言ったように、似合う服を着たければサイズの合うものを新たに購入してもいい。ダイエット以外にも逃げ道があるので、諦める自分を正当化しやすい。しかし、生活習慣病の人は、「どうせ手術するからダイエットしなくてもいい」とは考えません。他に逃げ道はなく、やるしかない。動機が強ければ、長続きするのです。
このように、動機の強さは行動の「質」と「継続性」に影響を与えます。行動の質を高めて、さらにそれを継続的に行えば、当然、成果は出やすくなります。だから強い動機づけが重要なのです。
営業活動も同じです。プロセス管理で生じがちな表面的な営業活動も、動機が強ければ一歩踏み込んだものになるでしょう。また、週に20件の訪問が必要だとして、動機の強い人はそれを毎週続けられるに違いありません。継続的に実践できれば、そうでない人と比べて成果を出しやすいことは明白です。
もちろん営業以外の他の仕事でも、動機は肝心です。事務仕事はルーティン的なものが多く、日々、仕事量が変動することも少ないはずです。量が変わらないなら、なおのこと質の高いアウトプットを安定的に出し続けることを求められます。それができるのは、動機の強い人です。「毎日同じ仕事の繰り返しだから」と愚痴って嫌々やっている人と、「裏方の仕事だが、みんなの役に立ちたい」と前向きにとらえてやっている人では、後者のほうがいい仕事をするのです。
長野県生まれ。 工学部にて設計を専攻。設計士として活躍。その後、外資系ISO審査機関にて営業職を経験。「最年少」「最短」「最高」記録を更新し、世界8カ国2300人のトップセールスとなる。東京本社マネジャーに就任し、三年で同機関を日本有数のISO審査登録機関(単年登録件数日本No.1)へと急成長させる原動力として活躍。その後、営業に特化したコンサルティングファーム、株式会社カーナープロダクトを設立し、代表取締役に就任。主な著書に『営業は感情移入』『諦めない営業』など。近著に『動機づけのマネジメント』(プレジデント社)がある。