マネジメントの手法には流行がある。「結果管理」「プロセス管理」「顧客関係性強化」……。本当に結果の出るやり方はどれなのか。それは「動機づけ」だ。いま営業の世界で最も注目を集める「動機づけのマネジメント」について、経営コンサルタントの横田雅俊氏が解説する――。

なぜ「行動管理」では結果が出ないのか

営業の世界にはマネジメント手法の流行があります。みなさんの会社では、いまどのような手法でマネジメントが行われているでしょうか。

いまの上司世代が若手のころ、営業組織は「結果管理」でマネジメントをしていました。結果とは、売り上げのこと。上司は月末や期末の目標予算をにらみながら、「今月は○万円足りない。なんとしても契約を取ってこい」と部下にはっぱをかけていました。

『動機づけのマネジメント』(プレジデント社刊・横田雅俊著)

しかし、同じノルマを目標にしながら、きちんと達成できる部下とそうでない部下がいます。両者の違いは、結果を出すための行動にあるのではないか。そのような発想から生まれ、一気に広がったのが「行動管理」です。 例えば新規顧客を取るには、訪問先を増やす必要があります。訪問先を増やすには、アポを取るために電話をかける件数を増やさなければなりません。そこで管理指標を、売り上げという結果から、訪問件数やアポ件数という行動量にシフトさせたわけです。

さらに近年は、行動量だけでなく、契約を取るために必要な工程をきちんと踏んでいるかという「プロセス管理」にマネジメント対象がシフトしつつあります。単に訪問したというだけではなく、初回訪問でヒアリングをして、何回目かの訪問でキーマンへの提案をするというように、行動の中身を管理するのです。 また、既存顧客のロイヤリティを高めるという観点から、「顧客関係性マネジメント」も実施されています。人口減少時代においては、市場の需要そのものの拡大が望めません。新規開拓や成長をするためには既存客のロイヤリティを高めることも重要です。顧客との関係性に影響する指標を中心に管理しようというのが、ロイヤルカスタマー化の動きです。

営業組織は結果管理から行動管理へ、さらにプロセスマネジメントや顧客関係性マネジメントというように、管理手法を変遷させてきました。最終的に求められるのは結果ですが、その結果につなげるために、行動、プロセス、顧客関係性を指標として管理するように変化してきたわけです。