ただ、新しい管理手法にも限界はあります。例えば訪問件数などの行動量が増えれば売り上げが増えることもありますが、営業担当一人あたりの行動量には上限があります。生産性を高めて訪問件数を1.5倍にすることは可能かもしれませんが、さすがに三倍にするのは物理的に困難でしょう。

また、プロセス管理も、形式的になる傾向があります。やるべき行動が決まっているせいか、それをこなすことが目的化して、「決められたことはきちんとやりました」という浅い営業活動が目立つようになってきたのです。

強い動機ならダイエットも成功する

行動量やプロセスといった外形的なものだけを管理しても、望む結果は得られない。その現実を目の当たりにして、最近注目されているのが「動機」です。同じ量、同じプロセスで行動しても、浅い動機で動いている人と、深い動機で動いている人では成果が違います。もしそうであれば、社員に深い動機づけができることが、良いマネジャーの条件なのではないか……。組織のマネジメントには、このような観点が必要なのです。

動機づけのマネジメントは、動機が強いと成果もあがるという前提に基づいています。では、なぜ動機が強いと、結果に結びつくのでしょうか。

ダイエットを例に説明しましょう。お気に入りの服がキツくなってきたからダイエットする人がいたとしましょう。サイズの合う服を買い直すこともできるので、動機としては弱い動機と言えます。一方、医者にメタボと診断され、実際に生活習慣病にかかってしまった人もいます。ダイエットしなければ命にかかわりますから、これは強い動機と言えます。

両者がダイエットを始めたとき、まず差が出るのは質です。どちらも食事の量を減らすかもしれませんが、動機が弱い人は、「少しくらいなら」と甘いものに手を出しがちです。それに対して動機が強い人は命がかかっているので、真剣に取り組みます。同じダイエットという行動をとっていても、行動の質が違うのです。