『ドラえもん』の土管や『ちびまる子ちゃん』のコタツは通じない

【田原】国でいうと、どこが主な市場になるのですか。

【亀井】アメリカが約7割です。あとはGDP(国内総生産)の大きな国が並んでいます。具体的にはドイツやシンガポール、オーストラリア、カナダ、メキシコあたりでしょうか。

【田原】中国は? GDPは大きいですよ。

【亀井】中国も大きいですし伸びてきています。ただ、Facebookが使えないので、アリババグループのTmall Global(天猫国際)に出店しています。売り上げは今後、さらに大きくなると期待しています。

【田原】海外市場の開拓はどのあたりが大変ですか。日本で人気のあるコンテンツやグッズを持っていけば売れるというものでもないのかな。

【亀井】おっしゃるとおりです。例えば『ワンパンマン』というマンガがあります。日本でアニメ化されましたが、深夜枠ということもあり、マニアックな人気にとどまっていました。ところが、このアニメはアメリカで人気が高く、グッズも飛ぶように売れています。主人公はワンパンチで敵を倒すという設定で、ストーリーは勧善懲悪。見た目はスキンヘッドで、キャラも立っている。アメリカでは、わかりやすいもののほうがウケます。さっそくスキンヘッドにしてワンパンマンのコスプレをしている人もいました。

【田原】日本のアニメは複雑すぎる?

【亀井】複雑というか、日本の文化が入りすぎている作品は難しいかもしれません。例えば海外の人は、『ドラえもん』に出てくる空地の土管がよくわからないし、『ちびまる子ちゃん』のコタツもわからない。日本の文化を紹介するという意味ではいいのですが、万人ウケはしません。逆に、マリオとかゼルダの冒険とか、日本発でもファンタジーもののほうが支持されやすいです。

【田原】日本向けにはやらない?

【亀井】いまは考えていないです。日本はすでに市場が大きくて、僕たちが頑張らなくてもいい。メーカーやコンテンツホルダーの人たちからも、海外の市場を開拓してほしいと期待されています。実際、収益源はほぼ100%海外。日本のベンチャーでは珍しく、為替の影響をもろに受けるビジネスモデルです。

【田原】オフィスもアメリカだけ?

【亀井】いや、渋谷に支社があり、ほかに倉庫もあります。日本のコンテンツやグッズを扱っているので、こちらにも拠点は必要です。従業員は、パートナーの人たちを含めて約90人です。

【田原】亀井さんはいまどちらにお住まいなのですか。

【亀井】テキサス州オースティンです。オースティンを選んだのは、日本人がものすごく少ないから。実は投資家ビザがやっと取れたところなので、長期間滞在するのは今回が初めて。いま一時的に帰国しましたが、次は6月まで行きっぱなしの予定です。

【田原】いまTokyo Otaku Modeのユーザーは何人くらいですか。

【亀井】Facebookの会員数は約1950万人です。

【田原】売り上げはどれくらいですか。

【亀井】非公開です。将来は100億円くらいにしないとダメだとは思っています。

【田原】Eコマースだけで100億円行きますか?

【亀井】まだボヤッとしていますが、Tokyo Otaku Modeをブランドにする必要があると考えています。単純なEコマースだけだと、アイテム数や価格の競争になるので、いまはよくてもいつかジリ貧になりかねない。Tokyo Otaku Modeがブランドになれば、ここでしか買いたくないというロイヤリティも生まれるし、ほかのビジネスが展開できるかもしれません。例えばですが、Tokyo Otaku Modeのラーメン屋さんを海外で展開してもいいわけですから。形にはこだわらず、コンテンツを中心に日本のいいところを知ってもらう。それで100億円を目指せたらいいなと考えています。

【田原】わかりました。頑張ってください。

亀井さんから田原さんへの質問

Q. 日本のマンガやアニメをどう思いますか?

マンガはよく読みましたよ。子どものころなら『のらくろ』や『冒険ダン吉』。大人になってからも手塚治虫作品で感動したり、高森朝雄・原作、ちばてつや・画の『あしたのジョー』にも興奮しましたね。

読んだのは純粋な娯楽作品だけではありません。社会的問題を扱った小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』もおもしろかったね。小林さんには「朝まで生テレビ!」に出てもらったり、一緒に本を出したりしています。

最近はあまり読まなくなったけど、日本のマンガは子どもから大人まで楽しめて、いろいろなテーマを扱える懐の深さがある。そういう意味で、表現の一ジャンルとして確立しています。海外の人たちが日本のオタク文化に興味を持つのはよくわかる。おもしろいものは万国共通ですね。

田原総一朗の遺言:万国共通のコンテンツを探れ!

編集部より:
次回「田原総一朗・次代への遺言」は、MJI 代表 永守知博氏のインタビューを掲載します。一足先に読みたい方は、5月22日発売の『PRESIDENT6.12号』をごらんください。PRESIDENTは全国の書店、コンビニなどで購入できます。
 
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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