自分ができる案件をできる日程で受ける

【三宅】私たちにしてもそうですが、とりわけ食事は、海外旅行の楽しみの1つです。けれども、食事の事情も各国や地域で異なることも多い。ガイドをされる上で、生活習慣とか食事に関して心得ていくべきことはどのようなことでしょうか。

【濱田】一言で言いますと、ガイドをするときに自分が知らない外国の習慣については、ニュートラルな気持ちで質問し、確認することだと思います。そうすれば、それに合わせた提案をすることができます。例えば、東南アジアから来られる観光客にはムスリムの方がかなりいます。最近では、イスラム法で許された食事である「ハラル(ハラール)」を食べさせてくれる店もありますから、そこにお連れすることも可能です。

【三宅】VISITKANSAIのメンバーの多くは、普段は自分の仕事に従事しているわけですよね。専業主婦だとしても家事が忙しいなか、無給でこの活動を続けられているわけですが、仕事とボランティアを上手に両立させるコツやモチベーションを支えているものは何ですか。

【濱田】ガイドをする人が、自分の意思で、できるときにできる案件をできる日程で受けるということだと思います。もし、「この案件は、あなたがやってください」と要請されたとしても、自分が好きで得意な観光地やコースでないとか、スケジュール調整が大変なら無理をする必要はありません。「やりたいときに、やりたい案件を、自ら選ぶ」それが長続きすることにつながります。

『対談(2)!日本人が英語を学ぶ理由』三宅義和著 プレジデント社

【三宅】東京オリンピック・パラリンピックが3年後に迫りました。それに合わせて、東京都の「外国人おもてなし語学ボランティア講座」や横浜市「訪日外国人旅行者受け入れ環境整備」など自治体主導のインバウンド対応も動き出しました。当社も協力しているのですが、関西でも「半世紀ぶりに五輪が来るぞ!」といった盛り上がりは感じられますか。

【濱田】去年、リオオリンピックが終わりました。ホスト都市の東京から見ると、あと3年かもしれませんが、関西圏は距離も離れているし、五輪景気とは別に経済も回っているものですから、私個人の肌感覚としては「まだ先」といった感じです。

ただ、半世紀前の東京五輪もそうだったようですが、開催が近づいてきますと違ってくるでしょう。何より、オリンピック目当ての観光客が増え、その人たちの何割かは関西に足を伸ばしてくれるはずです。私どもとしても、いまからその対応に備えたいと考えています。

【三宅】本日はありがとうございました。

(構成=岡村繁雄 撮影=澁谷高晴)
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