部下のスキルについては、7割以上が「十分だと思う」と高く評価している。20代、30代の若手社員はスキル習得に長けているという見方もできるが、社内のエクセル研修を見ると、定期的に実施しているのは4社のみで、新人研修で基本を教わったあとはスキル習得の機会は意外に少ないようだ。マネジャー自身がエクセルについて学んだ方法を見ても、本やインターネット検索による独学が大多数を占めている。上司・先輩から教わった人も3割近くいるが、OJTによる指導は会社や職場で統一された使い方でないことも考えられる。
チームメンバーに習得してほしいスキルは「データ集計・比較」「基本的な表・グラフ作成」「収益計画の策定」「予算・実績管理」と、回答者自身のエクセル用途にほぼ対応する結果となっている。
また、チームメンバーに不足しているスキルでは「表・グラフが見にくい」がトップになった。これはデータを受け取る側として「もう少し見やすくしてほしい」という要望だ。
これにつづいて「基本的な関数を知らない」「計算ミスが多い」「作業スピードが遅い」といった不満も見られるが、それほど数は多くない。
「表・グラフの見やすさは、フォーマットのルール化でかなり向上します。ところが、調査結果で、意外に職場でのルール化が進んでいない。会社や職場で対応するという発想が少ないのではないでしょうか」
熊野氏が指摘するように、職場でフォーマットのルール化が必要だと感じている人は12人と少数派だ。実際に社内でルール化しているのは2社、部署内でルール化しているのは4社にとどまった。
「私が勤めていた外資系投資銀行は、フォーマットのルール化が徹底していました。金融に限らず、多くの外資系企業にはルール化のカルチャーが根づいています。それは(1)作業の効率化、(2)計算ミスの予防、(3)見る側と作る側のストレス軽減、という大きなメリットがあるからです」
日本企業では社員(スタッフ)の仕事ぶりが丁寧ということも、フォーマットのルール化が進まない背景とも考えられる。しかし作業効率の向上やストレスの軽減など、ルール化による多くのメリットに目を向けることは重要だ。個人の努力だけでなく、組織でエクセルの習熟度を高めていくことが必要だろう。
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