●銀行窓口にだって、もう行けやしない
――銀行から「相続の手続きは、電話では対応できない」と言われ、「自分のカネなのに」と病床で憮然とする。

●カネで家族がバラバラになるなんて
――相続に関するいざこざは、家族離散のもと。病床で子どもたちの不和に嘆く羽目になってはつらすぎる。

●生命保険、解約するんじゃなかった
――家のローンや教育費で出費がかさみ、生命保険を解約してお金を捻出。しかし病気が見つかってから、解約を悔やむ。

●カネなんて当てにならない
――どれほど多くの預貯金があっても、健康を取り戻すのには何の役にも立たない。

●本当は孫の顔を見たかったね
――子どもは未婚。面と向かっては言えないが、孫と過ごす幸せも味わってみたかった。

●もっと伸び伸び育てればよかった
――「勉強しろ」とばかり言っていた。病気になってみれば、学歴なんて関係ないのに。

●もっと子どもたちと一緒に過ごせばよかった
――仕事ばかりで家庭を顧みなかった。父親として何も残してやれなかったのではないか。

●まったく見舞いに来ないんだ
――義理堅い人間に育てたつもりなのに、どうして子どもたちは見舞いに来てくれないのか。

緩和医療医 大津秀一
1976年生まれ。岐阜大学医学部卒業。2010年より東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンター勤務。著書に『死ぬときに後悔すること25』ほか。
 
ビハーラ僧 三浦紀夫
真宗大谷派僧侶、ビハーラ21事務局長。1965年生まれ。44歳で得度。高齢者施設を運営するビハーラ21常勤僧侶に。終末期の高齢者に寄り添う。
 
ホスピス医 小澤竹俊
1963年生まれ。東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。2006年めぐみ在宅クリニック開院。著書に『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』ほか。
 
(大泉 裕(大津氏)、篠原沙織(三浦氏)、澁谷高晴(小澤氏)=撮影)
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