有効な贈与の手段は「教育資金の一括贈与」だけではありません。祖父母からお金を現役世代に移転させて、消費を増やすために、政府は年々制度の拡充を進めています。

たとえば「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」。20歳以上で所得が2000万円以下の子や孫に対し、住宅取得資金として1500万円までの贈与が非課税になります。さらに16年10月以降は、この非課税枠が3000万円に拡大。夫婦が、自分の両親から、それぞれ贈与してもらえれば、最大で6000万円の贈与まで非課税です。さらに15年に創設された「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」。20歳以上50歳未満の子や孫に対し、結婚・出産・育児関連で1000万円まで、結婚費用だけであれば300万円までが非課税です。

孫への贈与で祖父母の相続財産を「目減り」させておけば、子供を飛び越せるので、相続税の節税になります。さらに生前に財産を分けておけば、遺産分割で子供たちがもめることも少なくなるでしょう。

青木寿幸

公認会計士、税理士、行政書士。1971年生まれ。アーサー・アンダーセン会計事務所、モルガン・スタンレー証券などを経て、2002年日本中央税理士法人を設立、代表社員に。著書に『あなたの相続、もめないのはどっち!?』、共著に『会計天国』など。
 
(稲田豊史=構成)
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