テトラ・リカルトのメリット

テトラ・リカルトには、製造から消費されるまでを通じ、すべてのプレイヤーにとってメリットがある、と坂尾氏は話す。

製造面では、軽量かつ、空の状態では折り畳んで運べること、また直方体なので無駄なくスペースを利用できることなど、輸送効率向上によるコスト低減が大きな利点だ。流通面でも、同様に棚を無駄なく使えることが挙げられる。また平面に印刷できるので、缶や瓶のような曲面より商品パッケージの訴求力が強まり、消費者に選んでもらいやすい。

同じ容量の食品を入れた場合、円筒形の缶詰や瓶詰めに比べて直方体のテトラ・リカルトはぐっと省スペースになる。これは消費者にとっても大きなメリットだ。かさばらなければストックにも便利だし、ゴミの処理も紙パックなら楽である。

同じ内容量のテトラ・リカルト(上)と缶詰(下)を1ダース並べたところ。省スペースなのが分かる。
1kgの食品を入れる容器の重さを比較。テトラ・リカルト(56g)を100%とすると、パウチは119%、缶は282%、瓶は1000%となる(企画書より)。

実際にテトラ・リカルトに詰められた食品を食べてみて気づいたのは、家事の負担を軽減する工夫がされていることだ。缶切りやはさみがなくても手で開けられるほか、開封口が尖っているため、スプーンなどを使わずに片手で中身を容器に移せる。またコーンや豆の水煮などの場合、先に開封口の先を小さく開けて水を切り、あとで大きく開けて中身を出すことができるなど、細かい部分で使い勝手がよい。レトルトのようにそのまま湯煎することもできるし、使い残しは口を閉じてそのまま冷蔵庫で保存できる。

手で簡単に開けられるだけでなく、先に水を捨ててから口を大きく開けて中身を出せる点も便利。捨てるのも缶や瓶に比べてラクだ。

また意外だが大きなポイントが、味の違い。缶のように、容器の匂いが食品に移ってしまうということがない。テトラ・リカルト入りのコーンの水煮をそのまま食べてみたが、明らかに缶入りのコーンとは味が違い、フレッシュなおいしさが味わえる。

最後に挙げられるのが、リサイクル性能や持続可能性という、社会全体にとってのメリットだ。テトラ・リカルトは約7割が紙として再生可能で、残りのアルミ以外の樹脂素材は燃やして熱源として使用できるという。すでにテトラパック製品が普及している国・地域では、リサイクル資源として分別が行われている。また、FSC(責任ある森林管理が行われていることを保証する認定基準)認証を取得し、森林資源が持続的に確保できる。