プレミアムフライデーと比較すると、消費増大が目的である点や金曜日に実施する点などは同じであるが、クリスマス商戦のスタートを意味して1年に1回の大型セールとなる米国のブラックフライデーとはかなり性格が異なる。
なお、ブラックフライデーについては、日本でも2016年から本格的に導入する企業が増加した。総務省の家計調査によると、2016年のブラックフライデーにあたる11月25日の消費支出は過去5年間のなかで最高となり、前年対比20%増であったという。1年に1度のイベントであったこと、割引セール等で消費を喚起したことなどが奏功しているものと思われるが、プレミアムフライデーとの比較の上では興味深いデータとなるであろう。
帰れる人の問題、帰れない人の問題
来る2月24日の第1回プレミアムフライデーが近づくにつれて、当日に特別なイベントを行うことを発表する企業が、小売・飲食・サービス業を中心に増えている。一方、住友商事をはじめプレミアムフライデーに合わせて、従業員の時短勤務推奨を宣言する企業も徐々に増えてきている。
しかしながら、従業員をプレミアムフライデーに参加させるという企業は、経団連加盟企業等の大企業などにとどまっている。プレミアムフライデーに特別なイベントを行うのは、小売・飲食・サービス業などの企業が圧倒的に多い状況である。
午後3時に仕事を終えて帰ることを推奨される従業員の視点に立つと、その月の最終金曜日の午後はむしろ仕事に集中したいと考える向きが多いのではないだろうか。また、小売・飲食等のサービス提供側・担い手側は、既に構造的な人手不足が深刻な状況であり、対応には苦慮するのではないだろうか。
少なくともこれら2つの問題意識を克服していかない限り、経団連の加盟企業など一部の企業の参加にとどまり、中長期的で継続的なイベントとしては定着しないのではないか。このイベントの目的自体には大いに賛同するものの、これが私の見立てである。