「減損損失」で店舗価値ゼロの現実
設備投資をしなければ、店舗の資産価値は年月の経過とともに自然に減少する。店舗の新設などに投じた資金は、使用する年数に応じて毎年度減価償却するからだ。だが、ジーンズメイトにしても毎年2億~3億円の設備投資を実施。したがって、店舗の資産価値は急激には下降しないものだが、現実にはたった1年で無価値になったりしている。
ピーンとくる読者もいるだろう。店舗の価値がゼロになったのは、「減損損失」という会計処理をしたためである。企業の稼ぐ力が低下し、計上している店舗資産の回収が見込めない場合には、回収が可能な額まで帳簿価額を引き下げる会計制度だ。
ジーンズメイトは、2007年2月期に9300万円を計上して以来、毎年、減損損失を計上してきた。16年2月期までの累計額は31億円を超す。そのため、店舗の資産価値がゼロになっているわけだ。
減損損失は損益計算書に計上する。実際に会社のキャッシュが減るわけではないが、利益は減少することになる。
その減損損失の計上は、ジーンズメイトにかぎらない。15年度の減損処理額はイオン465億円、セブン&アイHD226億円、ファーストリテイリング223億円である。大手といえども販売不振の店舗を抱え、減損処理を余儀なくされるということだ。
販売不振のジーンズメイトをどう立て直すのか。RIZAPグループの力量が問われる。