また、医療費控除の対象となる親族は、本人と「生計を一にする」ことが条件です。親の年収に基準はなく、同居していればOK。遠方に住んでいても、常に生活費、療養費などを送金していれば、親の医療費や介護費が医療費控除の対象になる可能性があります。

ただし、困ったことに「いくら送金していれば生計を一と判断されるのか」に国税の明確な回答はありません。以前私が電話相談で問い合わせたときも、「月3万円程度ではダメ」という回答のみでした。実際には、調査などで発覚した際には各税務署長に判断が一任されているようです。常識的に考えて、生活を支援するのに役立つ程度の額と理解するしかないでしょう。

医療費控除によって戻ってくる税金ですが、医療費控除が5万円の場合、所得税率が10%(課税所得金額が195万円超330万円以下)の人なら5000円、20%(同330万円超695万円以下)の人なら1万円が目安です。所得税率によって金額が変わるため、家族の中で税率が最も高い人が確定申告を行うのが還付を多くする秘訣です。

申告の際には医療費や介護費の領収書が必要です。また、足腰が悪くて通院にバスや電車が利用できない場合は、タクシー代も控除の対象になります。遠方の親で自分が管理できない場合は、「領収書箱」を用意して、領収書やレシートはすべてそこに入れてもらいましょう。

豊田眞弓

ファイナンシャルプランナー、FPラウンばっくすてーじ代表。経営誌や経済誌を経て、1994年より独立系FP。個人相談業務を行うほか、新聞や雑誌に多数のマネーコラムを寄稿。
 
(河合起季=構成 榊 智朗=撮影)
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