軽減効果を、より大きくするには

最近は低金利が続いていることもあり、住宅ローンの変動金利の利用者は57%(2018年・住宅金融支援機構「民間住宅ローンの実態調査」)と6割近くになっています。しかし、永遠に低金利が続くわけではありません。安倍晋三総理は18年9月の総裁選で、金融緩和縮小の「出口戦略」について「私の任期中にやり遂げたい」と発言しています。

大量に国債を買い取り、長期金利を極めて低い水準に抑制してきた日本銀行も、その買い取りの調整を実施しステルステーパリング(中央銀行が密かに量的金融緩和を縮小)を行うなど金融緩和の「出口探し」を始め、いずれかの段階で金融引き締めに転じる可能性がないとも限りません。実際に日銀は18年7月末の金融政策決定会合で金融政策を修正し、0.2%程度まで長期金利の上昇を容認しています。

住宅ローンの金利は、変動金利型は金融機関が優良企業に1年以下の短期で貸し出す際の最優遇金利であるプライムレートに連動しますが、ここ数カ月はほぼ動いていません。10年以上の固定金利期間選択型や固定金利型の多くは10年物国債利回りに連動します。金融緩和の正常化は長期が先行すると考えられるため、金利の上昇も固定金利型が先になると考えられます。このため変動金利型で借りていて、いずれ固定金利型に借り換えようと考えている人は、そろそろ要注意です。

19年は、長期金利の正常化が進む可能性がある一方で、変動金利にはまだ大きな動きはないかもしれません。しかし、2~3年以内には変動金利も上昇に転じる可能性があります。変動金利や固定金利期間選択型で借りている人にとって、金利の上昇は毎月の返済額や総返済額の増加につながります。それを避けるための1つの方法として繰り上げ返済があります。