餅の販売で鍛えた営業力

――生産だけでなく、加工や小売にも積極的に参入してきたわけですが、改めて六星さんのビジネス上の強みを教えてください。

【軽部】営業力は強みだと思っています。卸売や小売の営業にはかなり力を入れてやってきたので、販売網は結構持っています。

現在でも餅の加工が主力事業だ。

餅加工を始めてから、餅の販売に携わるようになり、農家でありながら販売の部分を学んだのは大きかったですね。当時は今のようなお取り寄せがなく、ふるさとのものは百貨店の催事場で行われる物産展でしか買えませんでしたから、そこで農家がつくったお餅やお米を売ると、「あら懐かしいわねぇ」とお客さんが買ってくださったものです。われわれ石川県の商品には「加賀百万石」という冠がついて、全国の物産展で好評でした。百貨店の地下の売り場に常設で置いてもらったり、またそれを見た高級スーパーからも声がかかったりして、どんどん広がっていきました。

――販売網の強みを生かした取り組みなどは?

【軽部】私たちは、地域の地主から農地をお借りして稲作を行っていますので、まずは1次産業の取り組みをしっかりやっていきたい。請負耕作だけでなく、地域の大型農家や専業農家と連携していくうえでも、当社が販売を代行するなど、販売網を生かしたサポートができるのではないかと思っています。

――その点では、軽部社長自身が営業畑出身であることは大きな強みになりますね。

【軽部】そのために呼ばれたということもあります。私もそうですが、会社を見渡してもいろんなキャリアの人がいます。そういう人たちが成長できる場を私が提供することで、人材が強みになればという希望はあります。