人間ドックの保健指導員は三球三振に仕留めた

適切な“言葉のリリースポイント”はあらゆる場面に活用できる。

以前に人間ドックを受けた後に、保健指導員から健康アドバイスを受けたことがある。

「エコー検査では、あなたは脂肪肝の状態です。しかも、GDPなどの値も高い。メタボリックシンドロームですね」

確かに、数値が以前にもまして高くなっている。

「肝臓は沈黙の臓器といわれていて、今は何の症状がなくても、このまま数値が悪化すれば、今後、大きな病気になる可能性もあります。そうならないためにも、お腹周りの脂肪を減らした方がよいですね」

実は人間ドックをうけたのがこの時が初めてで、「このまま肝臓に脂肪がつき続けると、肝硬変、肝臓がんのリスク高まる」と言われて、健康不安が一気に増幅した。

すると、それまではほとんど耳に入ってこなかった保健指導員のステレオタイプな健康管理の注意喚起の言葉が、ズバズバと心に突き刺さるようになったのだ。

「まずは、夜のおやつなど、甘いものを控えください」
「ジムに通うなどの運動を定期的にしてください」
「食後には、軽く運動すると効果的です」

動揺している私は「はい」「はい」「はい」と頷くしかなかった。もはや、三球三振の状態であった。それも見送り三振。ど真ん中の球を呆然と見送っただけだった。

私はそれ以来、ジムに通い、お菓子を食べる量を減らすようになった。おかげで今は、体重、腹回りの値は減り、肝臓値も通常範囲内になってきた。

言葉を投げるリリースポイント(タイミング)を熟慮すれば、人の心に潜り込み、心を操ることも可能となる。考えてみれば、デキるビジネスパーソンはそうした話の手順・プロセスに神経を使い、結果的にお金を呼び込むことに成功しているのだ。

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