我々の生活に潤いをもたらしてくれる瞑想。しかしそれを指導する団体は、玉石混交だ。一体どう見分ければいいのか。識者は「カルト宗教を連想しがちですが、瞑想を売りにするのは営利企業が多い。いわば悪徳商法です」と語る。その実態とは――。

裏で糸を引くのはカルトではない

「仕事で疲れた心を癒やしたい」「落ち着かない気持ちを整えたい」――。さまざまな目的を持って、人はヒーリングサロンや教室など、瞑想できるスポットへと足を運ぶ。しかしそのとき、「もっと精神について深く学んでみませんか?」と当初の意図とは関係ない勧誘を受け、困惑した経験談を誰しも耳にしたことがあるはずだ。

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こうした精神修養を窓口にして、勧誘を働きかける団体の正体は何か。カルト宗教事情に詳しいライター・藤倉善郎さんは、「カルト宗教を連想しがちですが、瞑想を売りにするのは営利企業が多い。いわば悪徳商法です」と語る。

「こうした企業は修養の手法に独自の名前をつけて、さまざまな瞑想法や理論を組み合わせたメソッドを作ります。さらにインストラクター認定といった資格制度を作るケースも多い。もともと国家資格ではないので好き勝手に制度を構築でき、ベンチャービジネスとして取り組みやすいんです」

「一度ハマった参加者は『もっと深いところまで学べる』『今度は教える側に行きませんか?』と口説かれた結果、会社のスタッフとして働いたり、ロイヤリティを払って開業したり、のめり込むごとにお金を吸い取られていく。オウム事件以降、『うちは宗教じゃないから』が売り文句になり、利用者が安心してしまうんですよ」

また瞑想は、悪質な自己啓発セミナーで使われることも。企業研修で採用され、身体と精神に負荷のかかるカリキュラムを強制した結果、社員が死亡してしまう事件も起きている。やはり瞑想を体験できる組織と関わる場合、そこが信頼できるかどうか、慎重に見極める必要がありそうだ。