疑問に感じた瞬間を、素通りしない

はたして、どんな対策をとればいいのか。

「瞑想のように日常と違う体験をすると、新鮮な気づきを得ることがあるかもしれません。ただしそこで『この団体はすごいんだ』と思いすぎないこと。悪い団体は『うちだから気づきを得られた』という特別感を押しつけてきます。そこで一度相手を崇めてしまうと、信じ込むバイアスを自分でかけてしまって、もう抜け出せません。騙される人の特徴は、ひとつの話を聞いたらそれで終わり。その団体だから効果があったとは限らなくて、よそでやっても同じ効果があったかもしれないと考え、他の団体と比べたほうがいいでしょう」(多田さん)

そして悪質な団体に関わっていると、ただのヒーリングが宗教の話になったり、途中で話がすりかわったりして、疑問に感じる瞬間が必ずあるという。そこで疑問から目を逸らし、素通りしないことも大切だ。一瞬でも謎に感じたら、すぐ周囲の人に体験談を話して、客観的な意見を求めたい。

「悩みを含めた個人情報を相手に与えないことも重要です。資産があるとわかったら、すぐに狙われますから。だからわざといい服を着ないで通い、裕福でないことをアピールするのはかなり有効な手段ですね」(多田さん)

藤倉さんも「個人相手の瞑想ビジネスは、良心的にやっているかぎり基本的に儲かりません。資格を取ることでビジネスになると持ちかけてくる団体には警戒すべき」と強調するように、真の精神世界は、金銭と無縁であるはず。そのリトマス試験紙を用いて、瞑想を体験できる団体とうまくつきあおう。

(写真=Getty Images)
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