情報を公開せずに、相手の情報を集めようとする

キャッチセールス評論家の多田文明さんに、疑ってかかるべき団体の特徴を聞いてみた。

「まず怪しい団体は、全体像を明かしません。普通であれば、期間や費用が全部でどれぐらいかかるかをはっきり提示してくれます。しかし隠したいことがあるとトータルでは説明せず、最初は無料だったり格安だったり、入り口のハードルを低くする。そして進んでいくごとに高額になって、最終的にはお金を巻き上げていくんです」

こうした団体は、利用者同士が不利な情報を共有しないよう、横のつながりを断とうとする。集会の帰り際を見張って、1人ずつ帰らせようとすることもあるという。

己の情報は公開したがらないが、相手の情報を集めようとするのも特徴だ。参加者に対して真っ先に働きかけるのが、仕事や家庭のトラブルといった悩みのリサーチ。こうした問題を解決に導けば、一気に信用を獲得して食い物にできるからだ。

「アドバイスが役に立ったんだ」と信用してしまう

とはいえ、悩みを解決するのは簡単ではない。そこで行われるのが、以下のような手法である。瞑想の後にカウンセリングを行い、「もっと穏やかな気持ちで暮らしたらどうですか」「エネルギーを意識して生活を送りましょう」といった簡素なアドバイスを送る。そして数日後、再び対面して、アドバイスの効果をフィードバック。その際、利用者からいい話をどんどん引き出そうとする。

「人間は少しでも関わった人に対して、『あなたのアドバイスは役立ちませんでした』のような悪いことは言えず、肯定的な話しかできなくなるもの。その性質をわかって、聞いてくるわけです。結果、自分の口を通していい話をしていると、『アドバイスが役に立ったんだ』と信用してしまう」(多田さん)

プラスの効果を強調するのは団体も一緒。そこで「病気が治った」「金に困らなくなった」と極端な成功体験を謳っているのはいかにも怪しいが、精神と事象に関連性がない場合も注意が必要である。

「『このヒーリングを受けると、バスが時間通り来ます』のような説明を受けることがあります。その後、バスが時間通り来ても、それはただの偶然。『精神状態がよかったことで、行動に移した結果、いいことが起きた』という正論の間が抜けて、『あなたの心が澄んでいるから、万事うまくいった』という理屈を押しつけてくる団体は、かなり信用しがたい」(多田さん)

そして退会の意思表示をしているにもかかわらず、エンドレスに勧誘が続く場合、危険と断定してほぼ間違いない。間髪入れずに連絡してきて考えるスキを与えなかったり、「ここまでやってやめるのはもったいない」と次のステップを求めたり、ただただ執拗さをもって、利用者を呑み込もうとする。

「怪しいと思ったらネットで調べるのは有効な手段です。でもそこでいい評判しか見かけない場合も、疑ってかかるべきでしょうね。普通に活動していれば、『気にいらなかった』など、多少の悪評はあるもの。情報操作して広めている可能性は高い」(藤倉さん)