最高齢が78歳の“老老”詐欺グループ

実は、ここにはもう一つ伏線がある。

「この事件の3カ月前の4月8日朝5時頃に、この事件現場から直線で5、6キロの隣の市で資産家の家に複数の男らが目だし帽をかぶり侵入。寝ていた67歳の不動産業などを営む会社経営者と62歳の妻の手足を粘着テープで縛り現金と時計など400万円相当を奪って逃走する事件が発生していた。その強盗事件の犯人の足跡と1000万円事件の足跡が一致した。しかも、被害者はともに高齢の社長、そして家には老夫婦だけ、資産家でキャッシュを手元に置いていたなど共通項が続々。手際も良く、相当下調べをして襲っていることがわかる」(捜査関係者)

高齢者夫婦のみ、経営者で金持ちを明らかにターゲットにしているのだ。

この傾向を、夕刊紙記者が解説する。

「北関東一帯のこの種の強盗事件を調べたところ、4月の資産家強盗発生場所の近くで昨年2月の午前0時過ぎ、69歳の葬祭関連会社の男性社長宅に男数人が侵入し、就寝中の社長と62歳の妻を脅し現金266万円と20万円相当の貴金属を奪って逃走する強盗事件が起きている。警察によると、押し入ったのは少なくとも3人の男」

この事件も、狙われたのは69歳の高齢者社長宅、家には老夫婦のみ。加えて社長は葬祭関連会社のほか、不動産やアパート経営も手掛ける資産家だ。

「社長は葬祭弁当や葬儀、通夜の後の仕出し業を営む。この日もたまたま葬儀があった。そして、事件前夜に代金として支払ってもらった現金266万円をそのまま自宅に持ち帰り、翌日銀行に預ける予定だった」(夕刊紙記者)

犯人らは、葬儀代金の支払いがどういう形で、いつ支払われるかを熟知したうえで犯行に至っているのだ。

「東京や横浜、大阪など大都会なら防犯カメラもふんだんに設置されているだろうが、地方都市や田舎ではまだまだ数が少ない。しかも地方都市では、『三丁目の夕日』ではないが普段は昼間、誰もいなくても鍵をかけない“性善説”に立った風習さえまだある。それでいて、高齢まで第一線で頑張る社長が結構いるので数千万円から億単位のカネを持つ輩はゴロゴロ。特に田舎では何かあったときのため数千万円のキャッシュを手元に置いている人も多い。そうした元気な高齢者社長を狙う新たな犯罪が増加傾向にあるのは間違いない」(捜査関係者)