東大生の親の働き方は「ちょっと違う」

それは、「親の尊敬しているところを教えてください(父親編)」という質問だ。

つまり、東大生たちは父親のどこを見てきた(いる)のか、ということ。父に何を感謝するか? という他の問いには、「(運動も遊びも勉強も)自分の好きなようにやらせてくれた」という東大生の意見が大半を占めたが、では、そんな父のどこをリスペクトしているのか? 

『プレジデントFamily 2016秋』の特集「発見! 伸びる子の共通点 東大生174人の小学生時代」より

まず、目立った回答は「家族の誰よりも早く仕事に行き、誰よりも遅く帰ってくる」(理I・青森県立八戸高校卒)といった「毎日懸命に働いている」ことへの尊敬の念だった。

約20年間育ててもらった立場としてはやや平凡な回答と言える。ただ、そのアンケートへのコメントの書き込みをじっくり読むと、父の“働き方”が一般の親とひと味違うのではないかと思わせる内容が散見された。

「仕事がとても大変なのに、それを家庭では(子供の前では)決して見せないこと」(文I・広島大学附属福山高校卒)
「弱音を吐かない点」(理科II・兵庫県立長田高校卒)

東大生の子の父親は、あまり「愚痴を言わない」らしいのだ。愚痴をこぼさず、我慢強く働き、家族に献身する。そんな頼もしい存在なのだろうか。

加えて、家庭内での父親の冷静沈着さにも子供は注目していた。

「めったに怒らない」(文III・1年・麻布高校卒)
「どんな辛い時でも家族に対する態度が変わらない」(薬学部・愛知県立安城東高校卒)
「動じない心」(農学部・開成高校卒)
「常に穏やかで器量が大きい人」(文III・聖光学院高校卒)
「論理的で全く感情的にならないところ」(文I・広島市立基町高校卒)

人間、働いていれば、ぐったり疲れることもあるし、何かしらトラブルに巻き込まれることもあるだろう。自宅ではつい「本音」を吐露するシーンがあってもおかしくないが、それをしない。そんな器の大きさを持っていることが子供を東大生にしら父親たちの共通点なのかもしれない。