人を見る目を信じるトップの義理人情とは

サイバーエージェント代表取締役社長 藤田 晋氏(時事通信フォト=写真)

「人間関係を切らない人」として有名なのは、サイバーエージェントの藤田晋さんです。どんな経営者に聞いても、「一度見込んだ相手はどんな失敗をしても最後まで面倒を見る人物だ」という答えが返ってきます。ビジネススピードも速く、人材の入れ替わりも激しい業界なので、初めてそれを聞いたときは、私も意外な印象を受けました。「人間関係」という数値化しにくい部分に関しては、もっとドライな対応をすると思っていたのです。しかし、スピードが速い業界では、ちょっとした読み違いを修正する暇もなく結果が出てしまうので、本人の能力ではどうしようもない部分もあります。そんなとき、「今回は失敗しても、復活戦の機会を与えればきっとやり遂げてくれるだろう」と信じられる人物とだけ付き合っているから、惜しみなくチャンスを与えるのでしょう。

人間関係の入り口は非常にドライでも、一度コミュニティに参加してしまえば非常にウエット。トップオブトップは、自分の「人を見る目」を信じています。だからこそ、第一印象でふるい落とされることのないよう、その場にふさわしいマナーを身につけ、魅力的な人柄をアピールするための雑談力を身につける必要があります。ビジネスで成功したいと考えるなら、まずはトップに惚れこまれる人物になること。人間的な魅力なくして、大きな仕事を成し遂げることはできません。

【調査概要】
年収1000万円以上で「自分の人生は成功だ」と思っている人(成功者)と、年収300万円以下で「自分の人生は失敗だ」と思っている人(失敗者)に、リサーチプラスにて、各100人にアンケート調査を実施。2015年3月6~9日。

ジャーナリスト・経済キャスター 谷本有香
証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスターに。トニー・ブレア元英首相の独占インタビューをはじめ、世界のVIPたちへのインタビューは1000人を超える。現在、日経CNBC「夜エクスプレス」のアンカーを担当。テレビ朝日「サンデースクランブル」ゲストコメンテーターとして不定期出演中。
(大高志帆=構成 時事通信フォト=写真)
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