長時間労働・残業の元凶は「役員」だった!

すでに週何日かのノー残業デイやノー残業月間を実施している企業もある。例えば、あるゲーム関連会社。社員のひとりは現状をこう話す。

「ノー残業デイの夕方に会社近くのスタバなどで企画開発部門の社員が4~5人で打ち合わせをしている光景をよく見かける。定時に会社を追い出されるのでしかたがないとは思うが、残業代はつきません。僕も仕事が溜まっているときは家に持ち帰って仕事をするのですが、ノー残業デイというのは会社にとって残業代を減らすための都合の良い制度としか思えません」

 

長時間労働が常態化している会社は、その原因は必ずある。

単純に業務量が多いということであれば、生産性を高めるために知恵を絞って業務の効率化を図る必要がある。これをしないまま、ノー残業デイの設定や残業禁止を打ち出しても“持ち帰り残業”が増えるだけである。

前述したように根本的な解決法は各部門の業務のあり方を生産性の観点から見直すことから始めることだろう。

そのためには各部門に口出しできる強力な権限を有する経営陣がプロジェクトの責任者としてリーダーシップを発揮することが必要だ。そして職場の業務を細かく精査すれば、おそらくムダな労働時間も見えてくるだろう。

さらにムダな労働時間の原因の中には、それを生み出している“容疑者”の存在が浮かび上がってくる。

その容疑者とは、直接仕事を指示する直属の上司や所属長も入るかもしれないが、じつはそうとは限らない。

長年、業務の効率化などのコンサルティングを手がけているシンクタンクのコンサルタントは究極の容疑者は「役員」が多いと指摘する。

「業務改革を提案する前に、社内の個々の業務にどれだけの時間を費やしているのかを分単位で実態調査をします。数カ月の調査データを比較分析していくと、似たような業務でも通常より時間が長くかかっている部門もあれば、同じ社員でもある時だけ仕事の時間が長くなっている部分が見えてきます。なぜそうなっているのかをヒアリングを通じてさらに原因を追跡していくと、ムダな業務を指示していたのが役員だったというのが結構ありました」