それと、手帳にはメモ用紙を挟んだり、比較的大型の付箋を貼ったりすることも。これらは、ちょっとした気づきとか、社員への指示を箇条書きにしたものです。それらは、メモ類については、必要なものは電子化し、それ以外は役目を終えた時点で処分します。一方で本当に重要な情報、すなわち商品開発や市場戦略のアイデアは手帳には残さない。万が一それが漏洩したら、取り返しがつきませんから。

社員への情報発信のなかに「変化することを固定したい」ということがあります。やや抽象的な表現になっていますが、要は「変化し続けてください」ということです。12年1月にオープンし、ご好評をいただいている「丸の内タニタ食堂」は、その好例でしょう。

タニタが、タバコケースなどを作る金属加工会社としてスタートしたのは1923年。トースターのOEM(相手先ブランドでの生産)などを手がけ、92年に体脂肪計を商品化しています。以後、健康に関する計測機器メーカーとしてブランドを確立できました。つまり、創業90年の老舗企業ではありますが、その歴史は変革の連続でした。

先の東日本大震災後、本社社屋を耐震補強し終え、社員食堂の横に酒も飲めるコーナーを設置しました。組織の風通しをよくする目的で、缶ビールが1日2本まで無料。役員や部長には出張の際に地方の地酒などを差し入れるように頼んでいます。それまでの福利厚生のやり方を見直したわけで、「会社は常に変わっていくもの」とのメッセージを社員に送ったつもりです。

子育てという“人生のサイクル”

私が大学卒業後、一時船井総合研究所でコンサルティング業務に携わっていたことから、よく「時間管理は上手でしょう?」と尋ねられます。しかし当時は、時間に追われて業務をこなしていくのが精一杯というのが偽らざる実情でした。

実は、コンサルタントの仕事というのは、クライアントに対して中長期の経営戦略におけるPDCA(計画・実行・評価・改善)のうち、前2つを提案しますが、後2つは企業側の役目です。私が評価の重要性を学んだのは、やはり米国時代でした。ティムさんには「きちんとチェックするんだ!」と繰り返し指摘されたことを覚えています。

当然、PDCAのサイクルを回して成果を出すには、効率的な時間管理が不可欠です。私自身、けっこう几帳面で、地方の講演などに行く際も早目に着くよう心がけますし、台風のシーズンともなれば、前泊するのが常です。