ところが、社長就任後に実感しているのは、自分の時間の使い方ではなく、組織を動かすためのタイムマネジメントの難しさ。食品の共同開発など外部とのコラボレーションも仕事に加わったことで、その日その日や週単位よりも長い視野で仕事を考えられるようになりました。今日の朝一番で秘書に指示したのは「年末の大掃除の日程を決めてほしい」。間もなく、スケジュールが手元に来ると思います(笑)。

タニタ社長 谷田千里氏

07年に取締役になってから、プライベートはないと割り切って仕事をしてきました。基本的に仕事そのものが楽しいですし、これといった趣味も持っていません。あえて経営者の醍醐味を挙げるとしたら、会社が社会的に評価されることです。12年に「日本マーケティング大賞」を、今年も「企業ブランド大賞2015」を受賞しましたが、大手に伍して、タニタのような規模の会社が認められたことは快感に近いものがあります。

ただその考えも、一昨年に長女が誕生したことで、わずかながら変化しました。父親になったことを機に“人生のサイクル”として子育てを1日の時間に組み入れています。周囲には「すみませんが、これまでより早く退社することもありますが、多少大目に見てください」とお願いしました。

とはいえ、やはり会社は気になります。得意先との会食が予定より早めに終わったときは自宅に直帰せず、本社に立ち寄ることもあります。そこで、遅くまで残業している社員と語り合うわけです。それもまた、私にとっては貴重な時間です。

▼谷田社長のある1日

06:00 起床
08:15 出社
08:45 ラジオ体操
09:00 子会社取締役会
12:00 社員食堂でランチ
13:00 各部署との社内会議
14:00 移動
15:00 東京都計量協会の理事会へ参加
17:00 移動
18:00 丸の内タニタ食堂でのメニュー検討会
20:00 退社
23:00 就寝

タニタ社長 谷田千里
1972年生まれ。立教学院、調理師専門学校、佐賀短期大学(現・西九州大学短期大学部)を経て佐賀大学理工学部に編入学、97年卒業。船井総合研究所等を経て2001年タニタ入社。05年タニタアメリカ取締役。07年取締役。08年より現職。
(構成=岡村繁雄 撮影=永井 浩)
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