既存顧客への表敬訪問や継続アプローチであれば、目的に合わせて優先順位を決める。たとえば新規に受注した後さらに関係を強化するための訪問や、ほかの事業所の担当者を紹介してもらうための訪問なら、優先順位が高くなる。

特に、ベテランの営業担当者で既存顧客ばかり訪問して新規アプローチを行わない人には、訪問目的を明確にさせ、優先順位づけを行うことで活動の質と効率を改善することができる。

とはいえ、顧客の本音を引き出すヒアリングやメリットを提示するプレゼンテーション、価格交渉を含むクロージングなど、訪問しなければ効果が半減してしまうプロセスには、優先的に時間を割り振る。それ以外には、できるだけメールや電話、ファクスなどの間接接触で対応し、移動時間を削ることから始めたい。顧客を訪問をする際には、プロとして会う価値を高め、どうすれば購入につながるのかを考えると同時に、本当に訪問すべきかを考えなければならない。

種まきの時期には、購入につなげるために顧客との関係を強化する努力が欠かせないが、間接的な接触がより効果的な場合もある。メールや郵送で毎月有益な情報を提供すれば接触頻度も増やすことができ、顧客の記憶に残るアプローチが可能だ。

実は営業効率を高めるために最も重要なのは、現状の営業活動の中に隠れている見えないムダを把握することである。通常、組織の成長とともに作成すべき書類等が増え、気がつかないうちに重複する作業や意味のない手続きが生まれているものだ。営業担当者個人の活動のムダを省くだけでなく、社内の仕組みや手続きを見直すといった組織としてのムダを省かなければならない。

商品やサービスによっても異なるが、国内の多くの業界は、成長期を過ぎて成熟期、衰退期にある。この時期には特に粘り強さが重要だ。営業担当者個人の時間を資源と捉え、目的を持って顧客と向き合い、信頼関係を構築するとともに新しいニーズを探すことが必要といえるだろう。

(構成=野崎稚恵)