「人の経験×コンサルティング」はニーズがある

【端羽】でも、ぐうの音も出ないほどにやられたことで、ほかのことに気づきました。「私、このアドバイスにならお金を払ってもいい。そうだ、人の経験×コンサルティングでサービスしたらウケるんじゃないか?」って。

【田原】なるほど。そこでビザスクのアイデアにつながるのか。

【端羽】はい。そのことをその場でお話ししたら、「アメリカにスポットコンサルティングサービスがある」と教えていただきました。調べてみると、大企業やコンサル会社が各分野のエキスパートにインタビューできるサービスが存在していて、日本以外の主要国では広く利用されていました。それで、同じサービスを日本でやろうと。

【田原】なぜ日本にはスポットコンサルが普及しなかったんだろう。

【端羽】アメリカ最大手の会社が一応、日本にも小さなオフィスを構えていたのでヒアリングに行きました。話を聞いてわかったのは、日本のことを知りたい人は多いが、話してくれるエキスパートが少なくて定着していないということ。おそらく理由は2つです。一つは、日本企業の人たちには外資アレルギーがあること。この問題は日本人である私たちが起業すれば解決できます。そしてもう1つは、日本は副業禁止の会社が多いこと。この問題も、当初は出産や育児で組織を離れた女性たちにアドバイザーになってもらうつもりだったので心配していませんでした。

【田原】ニーズがあって、アドバイザー側の問題がクリアできるなら、やらない手はないですね。

【端羽】そう考えて会社を辞めて2012年3月に起業して、13年の10月から本格的にサービスをスタートさせました。

ボロクソに言われて本気になった

【田原】起業にあたって不安はなかったですか。

【端羽】それが全然。まずこのビジネスは絶対イケると思っていました。多額の資金が必要なビジネスではないので、もしうまくいかなくても、せいぜいその間に企業で働いていたら稼いでいたはずのお給料が手に入らなくなるだけ。リターンは大きく期待できるのにリスクが限定的なら、やるしかないなと思っていました。

【田原】資金は少なくて済む?

【端羽】最初は今共同創業者になっているエンジニアが、土日にタダで手伝ってくれていました。それで追いつかないところを外注に出すだけだったので、初期は100万円くらいしかかけていません。ただ、これも後で怒られました。エンジニアが本格的に加わり、こんどは給料が発生するようになったので、あるベンチャーキャピタルに資金調達のお願いに行きました。すると、「本気度が足りない」と厳しいご指摘をいただきまして。人にボロクソに言われるのは、最初にビジネスプランをコテンパンにされたときに続いて2回目。どちらかというと褒められて育ってきたタイプなので、ショックというか、頭に来ました(笑)。

【田原】それでどうしたの?

【端羽】本気度が足りなかったのは事実なので、自分で一生懸命に調べて経産省の助成事業に応募しました。成熟産業から成長産業に知識や経験を移すために事業に出す助成で、まさにビザスクにぴったり。2日間で書類を書きあげ、2000万円の補助金をいただくことができました。これは最初にベンチャーキャピタルにお願いしたのと同額。先方には「ご指摘いただいたので本気になれました」とご報告しました。

「ビザスク」ウェブサイト