マンション「維持費」が原因で家計破たん

賃貸と購入は、家賃と住宅ローンだけを比較すると同程度の金額かもしれないが、年間コストに換算すると大きな開きがある。賃貸の場合、家賃以外にかかるお金といえば、毎月の共益費と2年に1回などの更新料(家賃1カ月分など)くらいだろう。

それに対して、マイホームの場合、住宅ローン返済以外に、次のようなコストがかかる。 特に固定資産税・都市計画税について、おおまかな目安は、物件価格が一般的な4000万円の新築住宅であれば、一戸建ては約15万~18万円、マンションは約20万~23万円と、マンションの方が高くなる。地価の高い東京都内の1億5000万円の高層マンションでは、35万円という事例もある。

また、同じようにマンションの場合、管理費について、駅近で戸数規模が多い高層マンションなどは共有部分が豪華な設備になっていることも多く、通常のマンションに比べて平均1万~2万円は高くなる。トータルで考えるとこれもけっこう大変だ。

マイホームに関する維持費は前出の高級車に比べれば、事前に把握できる費目も多い。しかし、賃貸時代にはなかった費目が年間数10万円単位で発生すると、ほとんどの人は、「え、こんなに高いの?」と動揺してしまう。

とりわけマイホームは多額で長期のローンを抱えるだけに、これらの見積もりを甘くみると、家計が破綻しかねない。実際に、自己破産した人の破産理由をみると、「住宅購入」は2008年の調査以降、増加傾向にあり、2014年調査では、全体の約16%も占めている。

また、破産した際の負債額の平均は約2414万円だが、破産債務者の半数近くが負債額500万円未満となっている(2014年日弁連破産事件及び個人再生事件記録調査より)。失業や給料の減少によって、住宅ローンが払えず破産せざるを得ない状況が、より深刻になっているということの表れだろう。

何かを購入した後の思わぬ維持費の大きさに、生活が破綻しかねないのであれば、「持たない」という選択肢を選ぶのも一手だろう。