なぜ、ショッピング時間は減らないのか?
ご覧のように、ほとんどの生活時間が80年に比べ削られていることがわかる。食事・勤務のいわゆる「必要時間」は大きな変化がないが、テレビの視聴(-6時間半)、読書(-6時間半)、外での飲食や喫茶(-5時間半)などは極端に時間をかけなくなっている。また、スポーツや趣味にかける時間も2~3時間減少している。
一方で、やや意外だったのは、ショッピング時間が30分しか削られていないことだ。アマゾンなどの隆盛で本も服も家電も、ネット購入する機会が増えた。わざわざ店に移動せずとも自宅PCやスマホですぐ買い物ができるのだから、もっとショッピング時間が減少してもおかしくないように思う。
案外、ショッピングに時間をかけている背景にあるのは、やれ「スマホのバッテリーが劣化したから機種変更しないと」だの、やれ「ユニクロの下着はコスパが高い」だの、モノの高性能化などに伴い「買わなければいけない」気持ちが高まっていることが一因だろう。
メーカーも競い合って魅力的な商品を売り出すことで、ユーザーの選択肢がさらに増え、結果的に比較検討する時間がそれなりにかかっているのかもしれない。
他の調査を見てみると、ショッピング時間が減っていないもう1つの要因が考えられる。ネット調査会社DIMSDRIVEによると、買い物をする際に、実際の店舗で下見をしてオンラインで購入する「ショールーミング」を経験した人は42.1%いるのだ。細かくみると……。
「実際の店舗で下見→オンラインで購入」:42.7%
「オンラインで下見→実際の店舗で確認→オンラインで購入」:27.4%
「実店舗とオンラインで商品を比較する」:61.3%
と、ネットが普及する前に比べ、今はより安く買うためのショールーミングという方法が定着したことで、むしろ比較検討の時間が増えたのかもしれない。考えようによっては、「安さ」のために時間というコストをかけていることになる。