家族から「生の会話」を奪ったスマホ

このスマホの時間、NHKの国民生活時間調査を見ても急激に増えていることがわかる。

15年の「インターネット利用時間」は、平日2時間2分、土曜2時間30分、日曜2時間47分。ちなみに05年の同じ調査では、 平日1時間38分、土曜2時間13分、日曜2時間11分だった。10年間で、1週間あたり合計約3時間近く増加したことになる(「インターネットの時間」:仕事、学業、家事以外の趣味や娯楽としてのインターネットが対象で、ホームページ、ブログ、掲示板、SNSの閲覧や作成、書き込み、また動画視聴、ネットオークション、オンラインゲームも含む)。

また、ビデオ・HDD・DVDの視聴時間も、10年の間で1週間あたり合計2時間以上増えていた。

ということは冒頭で紹介した35年間で「失われた時間」の大部分は、PCやスマホなどのインターネット、さらには、録画したテレビ番組の再生視聴や、ネットで配信されたテレビ番組の視聴を含む時間に取って代わられたということになるだろう。

わが身を振り返っても納得、という人は多いのではないか。

ネットは確かに便利で、個人が楽しむには最適だが、家族間のフェース・トゥ・フェースのコミュニケーションを促す装置とはならないのだ。「スマホしながら」の会話とは言えない会話はできたとしても……。

※参照元
・シチズンホールディングス「ビジネスマンの生活時間 35年の推移」
2015年4月、全国20代~50代のビジネスマン男性400人を対象に調査。
http://www.citizen.co.jp/research/time/20150528/outline.html
・象印「一家団らんに関する意識と実態調査」
首都圏の中学生の子どもがいる主婦300人を対象に、1982年、94年、06年に調査。
https://www.zojirushi.co.jp/topics/danran.html
・DIMSDRIVE「店舗とネット(オンライン)間の比較検討・消費行動」についてアンケート
「店舗とネット(オンラインショップ)での比較検討」、「ショールーミング経験」、「購入を検討する差額」などについて、2012年10月に調査。30代~50代の男女を中心に、回答者数は4,987人(男性55.1%、女性44.9%)
http://www.dims.ne.jp/timelyresearch/2013/130411/
・NHK「2015年国民生活時間調査」
図表9(15P)ビデオ・HDD・DVDの行為者率(男女年層別・職業別)
図表28(26P) インターネットの行為者率と時間量(男女年層別)
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20160217_1.pdf

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