一方、その分野についての知識も深く、経験も豊かな人は、自信があるから、たくさんのことを列挙して、自分の優位性を示す必要がない。むしろ、ナイーブに見えるくらいにポイントを絞って、わかりやすく伝えることができる。
実際に示すことは限られていても、いざ質疑応答になったら、圧倒的な知識で対応できるから、自然にプレゼンに迫力が出てくる。また、豊富な経験に基づいて絞りこまれたポイントは、その分野の本質を突いていることが多い。
以上のような点から、ジャーナリストの池上彰さんの解説に人気がある理由が見えてくる。池上さんは、長年の現場の経験、徹底した調査で、深い知識を持っている。しかし、それを、ひけらかそうとしない。
本当はものすごい深い知識を持っているのに、あえて初心者でもわかるようにポイントを絞り込む。ここに、池上さんの解説に迫力があり、人気を博す理由がある。
結局、すぐれたプレゼンをしようとしたら、付け焼き刃ではダメである。その分野について、余人の追随をゆるさないほどの圧倒的な知識、経験を蓄積しなければならない。
絶え間ない努力と、ポイントを絞る勇気。すぐれたプレゼンに必要な資質は、ビジネスのすべてに通じる。まずは、次のプレゼン資料を、心を込めて作ってみよう。