それまで治らなかった病気が治療可能に?
【田原】ビジネスのほうは分かりました。本来の目的である研究のほうはどうですか。研究は自前でやっているのですか。
【高橋】基本的にデータの解析は自分たちでやっています。ただ、昨年の夏からさまざまな研究機関との共同研究も始めています。
【田原】研究機関って?
【高橋】大学や産総研(産業技術総合研究所)のような国の研究機関、企業など、6~8の研究機関と共同でやっています。たとえば食品の摂取と遺伝子の関係を研究するときはそれに強い先生と組んだり、うつ病と遺伝子の関係の研究は、うつ病の専門家の先生と一緒にやっています。
【田原】遺伝子解析はアメリカと比べてどうですか。
【高橋】かなり遅れています。ゲノムの研究に使われる国の予算の桁が違いますから。予算が少ないと解析できる人数も少なくなり、データから分かることも少なくなります。
【田原】いま、ジーンクエストでは何人分を調べたのですか。
【高橋】公開していませんが、ざっくりいうと何万人という規模です。アメリカの23andMeは120万人分持っていますから、それに比べるとずっと少ないです。
【田原】日本の中では多いほう?
【高橋】そうですね。国のプロジェクトでも1000人くらい。私たちは数万人なので、アカデミックな研究をするのに十分なデータ量はすでに取れています。
【田原】そうですか。高橋さんの研究が進むと、これからどうなっていくのですか。
【高橋】世の中には、原因がよく分かっていない病気がまだまだたくさんあります。しかし研究が進んでその病気に関わっている遺伝子が分かれば、新しい薬ができて、それまで治らなかった病気が治療可能になるかもしれません。