頭金ゼロのフルローンを組ませるカラクリ

今年2月、日銀がマイナス金利政策を実施した影響もあって、国内ではなんとか融資先を見つけたい地銀の一部がこうしたセミナーを後押ししているという話も、業界からは聞こえてくる。

見えてきたスキームは、こうだ。

まず地方の古いマンションに、短期賃借人をつけ「高収益物件」のように装って、都心でセミナーを実施。そこで地方の実情を知らないサラリーマンらに、頭金ゼロのフルローンで購入させる。そこに地銀が、頭金0のフルローンで融資するという算段である。

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なお、このスキームで紹介される物件は築年数30年程度の古い物件ばかりだが、これは物件の耐用年数に理由がある。

1998年の税制改正で、鉄筋コンクリート造りの建物の法定耐用年数は47年となったが、それ以前の建物の法定耐用年数は60年だ。銀行はこの年数内しか融資をする事ができない。

したがって、1998年以前に作られた築20~30年の建物に対して融資をすれば、古くても法定耐用年数がまだ30年以上残っているので、融資も30年以上の長期間のローンを組ませることができる。そうすれば銀行の金利収入が増えるのはもちろん、毎月の支払い金額が非常に少額に見えるので、購入者も「これなら払える」と、その気になりやすい。

さらに地銀の側の事情もある。表面上、高収益物件として社内の審査に出せば、与信額が収益還元法(将来の収益から現在の価値を計算する方法)で計算されるので、頭金ゼロのフルローンで地銀が融資をする事ができるのだ。